

④詩パートの島
【活動紹介】
詩パートは、毎週木曜日の20時から22時までZoomミーティングにて、詩の創作や合評、鑑賞をしています。以前は、部室にて18時半から21時頃まで活動していました。そこでうまれた詩は詩集へと編まれ、早稲田祭や文学フリマで販売されます。と、文章で説明するとなんだかむずかしそうですが、活動はゆるっとやっています!好きな歌詞を紹介したり、着想を得るため遠足に行ったり、詩を使ったクイズをしたり、などなど。大学に入ってからはじめて詩をつくった人も、かねてより親しんでいた人も、一緒に楽しく活動しています。
☆詩集選り抜き展示
今年度の詩集『時速45kmの抒情』から、一部の詩を抜粋して紹介します。
声の呼ぶ朝
あなたが顔を向けた先にその声はある
耳よりももっと繊細な道を通って
沁み込むように
あるいは、湧き出すように
その声は世界を微かに色めき立たせる
春を呼ぶというよりは
冬に向かって丁寧にさよならを言うように
空気中を漂う明日への怯えを
ふっと一息おしかえす
すると、守りたいものが
まるで蝶のりんぷんみたいに
いつのまにか指先についていることに気が付いて
声は少しずつ春の夜明けを思い出す
朝が来て
また、次の朝が来る
このかわいらしい手のひらサイズの世界には
本当はきっと朝しか存在しないのだ
声だけがそのことを知っている
目も、鼻も、心臓でさえ、
まだ眠っている時間
声の呼ぶ朝
(テーマ:声)
011001
アルコトナイコト
ナイコトアルコト
100110
38635482
うつりかわって
ながれめぐって
46879345
(テーマ:数)
モラトリアム
雪の底で眠っているの
ひんやり心地よいまどろみ
春が来ても醒めたくない
芽吹きのためのエネルギーも
すべて眠りに注いでしまえ
いつかわたしは化石になって
形ばかりの永遠を手にする
(テーマ:眠り)
汗
体育館には
血が通っている
みんなで運ぶボールに
酸素を乗せて駆けまわる
大きく振りかぶって
頬をあからめ跳びあがる
からだをいじめて叩いて
やっと吹いた風
ときには這いつくばって
痛みが弾むが
なおしぼりだされる
「もう一本」
永く振り上げられた腕に
びりびりと響きだす
人肌だ
いまの熱が飽和する
体育館には
血が通っている
(テーマ:潤い)
車窓
電車は近づいていく
見覚えのある景色
遠くから見えるあの学校は
昔の日常だった場所
線路沿いの建物の壁画は
今も変わっていない
駅前のショッピングセンターは
よく友達と買い物に行った
その隣のレストランは
なくなってしまった
少し大人になった私を乗せて
電車は遠ざかっていく
(自由詩)
蛇口の水にサインペンをつけて
うねる色が流れていく
ぬるい水の透明なざわめきが
色を奪って十年をすすぐ
(テーマ:空白)