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​⑥評論パートの島

​はやみねかおる『恐竜がくれた夏休み』

 2020年6月13日の評論では、はやみねかおる『恐竜がくれた夏休み』を評論しました。子どもたちと大人、そして恐竜が過ごした夏休みを描くこの作品を、評論集候補作として評論しました。

 

1.時空石

時空石(ときいし)は恐竜ロロのいた時代と現代をつないだ、不思議な石です。時空石は、この物語で重要な斗祈隠の一族との関連も述べられていて、物語のキーアイテムであることがうかがえます。この時空石については、はやみねかおる氏の他作品「怪盗クイーン」シリーズにも登場したものであることが分かりました。ロロは石の力を借りて現代に現れましたが、斗祈隠たちや他の人物たちは、何を願って他の時代に行ったのでしょうか。

 

2.メッセージ性

 ロロが人々に伝える「フィーネの時」は、美亜たち子どもたちが地球について考えるきっかけにもなりました。作品に流れるメッセージは、この本を読む私たちにも向けられています。また作中の描写からは美亜たち子どもへ向けた問題意識だけではなく、彼らを守る大人である龍一郎さんや仁の祖母などの見せる優しさや格好良さを知ることができます。子どもたちへ問いかけながらも、未来への希望も伝えてくれる作品であると思います。

 

評論集候補作として読んだ本作ですが、さまざまな構想を出しながら読むことができました。特に恐竜が出てくるということで、恐竜図鑑を作ったり、ロロの恐竜としての種類は何なのか調査するといった意見は面白かったです。本作は初出が子ども向け科学雑誌だったということで、そうした楽しみ方ができる作品であるということも分かりました。作者のはやみね氏が作り上げる「赤い夢」世界の終わりが近いということなので、本作を読んでその「終わり」に備えてみるのもよいのではないでしょうか。

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