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​⑥評論パートの島

令丈ヒロ子『若おかみは小学生!』

 2020年9月12日の活動では、令丈ヒロ子『若おかみは小学生!』を評論しました。今回取り上げた1巻は、都会育ちの小学6年生・おっこが春の屋旅館のおかみとして働く決意を固めるまでの物語です。

 2003年から2013年に全20巻が刊行された、青い鳥文庫の大人気シリーズである本作。小学生時代に愛読していた参加者が多く、2019年に公開された映画を見たことがある参加者もいました。

 

  1. おっこはいつ若おかみ修行に対して本気になったのか?

 活動前半では主人公であるおっこに注目し、若おかみ修行に対する心境の変化について話し合いました。

 最初は勢い半分で若おかみになると宣言したおっこ。周囲の人が意気揚々と若おかみ修行を始めるも、当のおっこはそこまで乗り気ではなさそうな様子でした。しかしその後、いくつもの失敗と小さな成功体験を経験し、おっこは少しずつ仕事に対して真摯に向き合うようになります。失敗から生まれた悔しさ、成功から得た自信、生来の負けん気など、いくつもの感情がおっこを若おかみ修行に突き動かしたといえるでしょう。

 2. 「お仕事もの」と子どもたち

 ここでは、本作で「働く」ということがいかに描かれているかに着目しました。これを読み解くカギとなる存在は、花の湯温泉街一の大旅館のあとつぎ娘・真月。彼女はおっこを目の敵にする高飛車で厄介な存在でありながら、読者である子どもたちの多くが憧れる豪華なファッションを着こなすお嬢様という立場でもあり、そして確かな実力を持ち周囲に信頼されている仕事人としての顔も持ち合わせています。親しみの持てる児童文学らしいキャラクターでありながら、アイデンティティに「仕事」がしっかりと根付いている点が真月の興味深い点である、という意見もありました。

 

 

 また、本活動の終盤では、参加者や周囲の同級生が好きだった青い鳥文庫作品についても話しました。『妖怪ナビ・ルナ』『泣いちゃいそうだよ』『タイムスリップ探偵団』など、懐かしい名前がずらり! 読み返したい作品も多く、改めて青い鳥文庫の魅力を感じました。

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